日記 diary

夏休み summer juant 

“Again and again, the cicada’s untiring cry pierced the sultry summer air like a needle at work on thick cotton cloth.”

―Yukio Mishima

クマ、アブラ、ツクツクホーシ、ヒグラシ、ミンミン、ニイニイ。

この島には南北に約三十の蝉が生息しているとか。

鳴き声を思い出すだけで暑さがいや増すような。日本の夏の風情と記憶に欠かせない存在。


二十代後半から三十代半ばまで、とにかく、夏がキライでたまらなかった。二日酔いでそれでなくても寝床から出たくない週末の朝。部屋の前の梅の木にとまって命短しとばかりに喧しいジージーミンミンが耳触りでたまらなかった。風物詩とは程遠い…
なんせ汗っかきなもんだから、化粧なんてしてらんないし、振り袖二の腕やらシームレスヒップ&サイがどうにも解消できないのに所謂女盛りの妙齢。

どないせえっちゅうねん…

と、自分の生活習慣を棚に高く高く上げては、太陽と人がギラつく季節を疎ましく感じてきた。
それが、ひとまず汗に関しては三十代に入ってから思いがけない発見?をした。

身体が冷えてると、汗っかきになる。

身体があったまってると、内外気温差のキツさが和らぐ。
キッカケは当時の職場、自然療法の学校でのこと。

授業用教材のタイハーブが消費期限に近づいてきたから、スタッフで使い切りましょうかね、と、なり、残業後にタイハーブのスチームテントで蒸された時。

ヒグラシがカラカラ鳴いて鈴虫の音も聞こえるのに、昼の熱波が閉じ込められた都会はまだまだムンとする空気。

いつもなら噴き出す汗が、不思議と出ない。しかも、まとわりつく湿気が不快じゃない。

なんだろこれは?と、足取り軽く家路に着いた忘れられない感覚。

芯の冷え、真の冷え。

それを自覚した経験でもありました。

あれから少しずつ、8月を敵視することなく、四季の移ろいや揺らぎと身体の声に歩調を合わせながら生きていけるようになったように思うわけで。

日焼けを過剰に気するのも考え直し、冷ます食べ物に偏り過ぎない暮らしに快があることも知りました。

もっと早く気づいてれば、ねー。若さとはバカさよねー。

8月に休暇を取るようになって数年。

Breakがあり、vacate するから、recreate できる。

平和な休暇に感謝しながら、これからももっと休もう!と、次の連休に想いを馳せるフーテン社会人。我が国もフランスみたいに2週間休暇義務制度に法改正してもらいたいもんだ。